kindleコミック「ジョジョの奇妙な冒険 第1部」

多分「ジョジョの奇妙な冒険」と言うと、3部以降からが人気なのではないかと思います。でも「ジョジョの奇妙な冒険」は、全シリーズにおいてある一貫した因縁めいた共通点があります。
「ジョースターの血統」と「黄金の精神」。
この二つの大きな要項。
ジョジョの歴代主人公たちにはそれぞれに性格や個性の差はあれど、その内面には何者にも屈しない正義の心が宿っていました。(7部以降はまるっきりパラレルな上、ジョニィ・ジョースターは黄金の精神とは逆の暗黒の精神を持っているので当てはまらないかもしれませんが…)
そして初代ジョジョであるジョナサン・ジョースターも、まさに黄金の精神の持ち主だった訳です。素直で純粋でまるで「この世には善人しかいないと思っているんじゃないか」と言う位、心根の綺麗な少年・ジョナサン。裕福な家に生まれ、厳しくも優しい父親や召使たちと幸せな幼少期を過ごします。そんなジョナサンの前に立ちはだかる黒い影。
昔、ジョナサンの父の命を救った恩人(実際は違う)の死をきっかけにその息子ディオ・ブランドーを引き取る事になったが、このディオがとんだ悪党で、養子となって面倒を見て貰うだけでは飽き足らず、ジョースター家を乗っ取ろうとジョナサンに対する様々な陰湿で惨い嫌がらせをして失脚させようとします。
…ここまで言うと、なんだか小公女セーラ的なモノを想像してしまいますが、ちょっと違います。と言うか世間一般の子供向けの話の中の嫌がらせではなく、しょっぱなからそれ以上にハードな内容です。
まずはいい感じだったガールフレンドのエリナのファーストキスをディオに無理矢理奪われるNTR展開!(キスだけだけど)、更にジョナサンの愛犬ダニーが焼却炉に入れられて焼き殺されたりします。
「なんで最初にこの一部を読まなかったのか?」と言うと、昔チラッと見たダニー焼き殺しシーンがトラウマだったからです…。ディオがどれだけ性根の腐った奴なのかよく表現されたシーンだとは思いますが。
でも結局はディオはその悪事も本性も白日の下に晒し、窮地に追いやられてしまう事になるんですが…。運命の悪戯か、ジョースター家に飾っていた「石仮面」…。
最初に石仮面に興味を持ったのはジョナサンで、彼は石仮面を研究しながら考古学の道を目指します。その研究資料を見たディオもまた石仮面に興味を持ってしまったのだから、皮肉なお話です。
この石仮面に血をかけると、中から牙のような針が出てきて被っているものの頭を刺します。最初はただの拷問器具だと思っていたディオですが、この針に刺されると常人離れしたパワーと回復力を持つ吸血鬼になる事を知り、自身も窮地に追いやられた際に石仮面を利用して吸血鬼となって生き延びたのです。
最初は普通の人間同士の話だったんですが、石仮面が出てきてから事態は一変しました。ジョナサンが決死の覚悟でジョースター家ごと焼け落としても焼け跡から再生して生き延びる無敵の吸血鬼…こうなってしまっては普通の人間では敵いません。
そこで、吸血鬼への対抗策として波紋が出てくるんですが…。
そもそもこの石仮面さえなければ、ジョースター一族とディオの世代を超えた厄介な因縁なんて勃発しなかった訳です。ディオはジョースター卿殺人未遂の罪で警察に捕まりそこで終了だったでしょう。
すべてはここから始まった、正にそうなんです。個人的に、歴代ジョジョの中でも一際濃いお話だと思います。ジョジョはどの章から読んでも面白いと思いますが、ジョジョの始まりを知ってからだとますますジョジョワールドを楽しめると思います。